北海道で地すべりを考える会


地すべりについて様々な研究を行っています。


地すべりとは、土砂災害の一形態であり、斜面を形成する地塊(土砂・岩塊)が、地下の地層中に円弧状または平面状に形成される地質的不連続面、すなわち「すべり面」を境にして、すべり面上の地塊が移動する現象である。一般に、土砂災害においては、すべり面を持たない単純な「斜面崩壊(土砂崩れ)」や「がけ崩れ」と混同されることが多いが、「すべり面」を境に移動する特徴から、それらの土砂災害とは明確に区別される。

なお、表記においては度々「地滑り」または「地辿り」と書かれる場合が多いが、混乱を防ぐため、地すべり学会などでは「地すべり」の表記に統一している。



すべり面

すべり面は、地中に二次元的、三次元的に形成される。主に粘土鉱物を含んだ第三紀層の堆積岩や、火山活動(熱水、温泉水の影響)などによる粘土化を受けた、強度の低い堆積岩内や粘土層で生じるケースが多い。すべり面は、固さの異なる地層の境目などに形成されやすく、特に地層面が流れ盤状に傾斜した状況下で、風化して脆くなった地層にすべり面が形成されたり、固い地盤の上に堆積した柔らかい粘土質の地盤が、その境目をすべり面として移動するケースが多い。多くの場合、すべり面となる不連続面では恒常的に地下水が浸透して劣化が進んでおり、地下水によって地塊に働く浮力と相まって地塊の重さに耐えきれず剪断破壊することにより地すべりが発生する。すべり面は剪断破壊を伴う地塊の移動現象であり、そういう意味では断層のメカニズムに類似した一面もある。なお、すべり面の厚さは一般に数mm程度の厚さしかない。すべり面の部分をサンプルとして採取すると、剪断破壊によって形成された、光沢のあるきれいな平面が観察されることが良くある。この状態を「鏡肌」と称している。

すべり面の形状や分布状況を調査・特定することは、対策工事の計画には不可欠な作業である。地表面に現れた亀裂や隆起・陥没の状況を「現地踏査」によって観察し、まずは大まかな平面形状を推測する。そして、その中心線を基準に数カ所でボーリング調査を行い、ボーリングによって得られたサンプル(ボーリングコア)をよく観察して、各地点ですべり面の深さを判定する。動きの遅い地すべりの場合は、ボーリング調査後の孔に歪み計を埋設し、数ヶ月間、歪みの蓄積状況を観測する場合がある。観測結果を解析することにより、歪みの大きな深度にすべり面があると推測する。これらの作業により、すべり面の形状を三次元的に捉えることが可能となり、その他の調査方法も併用して地すべりの移動速度などを知ることが可能となる。すべり面の深度は、地すべりの規模にもよるが数m〜数10m程度であることが多い。

地すべりは、それまで何の異変も無かった斜面で新たにすべり面が形成されて滑り出す「新生地すべり」と、過去に活動した履歴のある「古地すべり」が再び地盤の安定を失って滑動するケースがあるが、対策工事を必要とする大規模な地すべりのほとんどは後者であると言われている。従って、地すべりの調査において、地形図や航空写真(空中写真)を使った予備調査によって地すべりの特徴を示す地形を探し、古地すべりの存在が疑われる箇所の有無をある程度把握しておくことは非常に重要である。